これまで3記事にわたって、つみたてNISAの基本から始め方までを解説してきましたが、今回は始める上で知っておくべき注意点とリスクについてお伝えします。
・そもそもNISAって何?なにがお得なのか簡単解説
・一般NISAとつみたてNISAの違いは?どんな人におすすめ?
・【つみたてNISA】簡単5ステップで始めよう!
つみたてNISAは初心者でも始めやすく、安心して運用を任せられる仕組みがあるだけでなく、利益が非課税になるというメリットの多い制度です。
気になっている方はぜひ以下の点を理解した上で、運用を検討してみてください。
つみたてNISAの注意点6つ
ここでつみたてNISAのメリットをおさらいしておきましょう。
メリット
- 少額から投資できる(最低100円)
- 金融庁が認めた安心商品から運用できる
- 投資初心者でも安心
- 専門家にお任せで自動運用が可能
- いつでも引き出しが可能
- iDeCoは60歳まで引き出せない
- 長期間、利益が非課税になる
- 一般NISAは5年だが、つみたてNISAは20年間(800万円分非課税)
デメリット・注意点
- つみたてNISAと一般NISAは併用できない
- 金融機関の変更は年に1回まで
- 投資可能な商品の幅は狭い
- 損益通算ができない
- 元本割れのリスクがある
- 非課税枠は繰り越しできない
メリットがあるからこそ生まれてしまうデメリットもありますが、上記について詳しく説明していきます。
1. つみたてNISAと一般NISAは併用できない
基本的に、NISA口座は1人1つまでしか作れず、一般NISAとつみたてNISAを併用することはできません。
しかし、どちらの方が向いているのかは人によって異なるので、ぜひこの記事を参考にご自分に合う方を選んでみてください。
2. 金融機関の変更は年に1回まで
NISA口座は1つしか作れませんが、金融機関の変更及び、一般NISAとつみたてNISAとの変更は年に1度可能です。
変更したい場合は、前年の10月〜変更したい年の9月30日までに手続きを行う必要があります。
またすでに口座に入っている株式や投資信託を次の口座に移すことはできないので、注意が必要です。
失敗しない金融機関選びのために、おすすめの機関や口座開設の仕方についてもこちらで解説しているので、よければ参考にしてみてください。
3. 投資可能な商品の幅は狭い
これは安心して運用できるメリットでもありますが、つみたてNISAは金融庁が「長期的な安定運用に向いている」と判断した200の銘柄から商品を選べます。
初心者にとっては嬉しい内容ですが、一般NISAのように自分で株式の銘柄を選ぶことはできないので、自分で積極的に運用していきたい人には向いていません。
自分に合った運用タイプを選びましょう。200種といっても様々な銘柄があるので、初心者の人には充分な内容と言えるでしょう。
4. 損益通算ができない
損益分散とは、複数の口座で投資している場合、同年の口座ごとの利益と損益を相殺して税金を差し引いてもらえることです。
一方の口座で利益が出ても、他方の口座で出た損益分は、税金がかからないようにしてもらえます。
しかし、つみたてNISAではそもそも利益が非課税のため、損益が出ても他の口座との損益通算はできません。
また損をしたとしても、非課税期間終了後の価格が購入価格とみなされ、課税の対象になりさらに損をしてしまう可能性があります。
ex)100万円で購入
→非課税期間・終了時には80万円に値下がり(−20万円)
→90万円で売却(全体としては−10万円)期間終了時の80万円が購入価格とされるため、10万円の利益とみなされ課税される
回復の見込みがない場合は非課税期間内に売却することも検討しましょう。
5. 元本割れのリスクがある
iDeCoには元本割れ(購入時の価格を下回ること)がない商品が用意されていますが、NISAにはそのような保証がありません。
株式を運用する以上リスクは0ではありませんが、以下の3つの観点から元本割れして損をする可能性は低いと言えます。
- 金融庁が元本割れしにくい商品を選定
- プロが長期積立・分散投資を運用
- 短期的に損をしても、長期的には成長する
- 株式は長期的には右肩上がりが続く
- 貯金をするだけの方が損する可能性もある
- 円の価値が低下傾向にある
つみたてNISAはそもそも金融庁が厳選した銘柄しか購入することができませんが、株価の変動は波があるので、短期的にみたら株価が下がることもあります。
しかし、リーマンショックなどの短期的な低下はあっても、長期的にみると国内・海外の株価はともに右肩上がりの傾向を続けています。
長期的に運用するほど元本割れのリスクは下がる傾向があるため、コツコツと長期的に運用して資産を形成したい方はそれほど元本割れを心配する必要はないでしょう。
また景気によって円の価値は変動しており、物価が上昇(つまりお金の価値が低下)している昨今では、預金しておくだけで資産の価値が下がってしまう可能性があります。
リスクと自身が許容できる範囲を理解した上で、NISAの利用を検討してみてください。
6. 非課税枠は繰り越しできない
限度額まで使いきれなかった場合、非課税枠を翌年に繰り越すことはできません。
また1度使ってしまった枠は、その分を売却したり解約しても復活できないので注意が必要です。
押さえておきたいポイント
上記で解説した注意点のほかに、NISAを運用する上で知っておきたいポイントを2つお伝えします。
クレジットカードを活用しよう◎
ネット証券の中には、クレジットカードを使って積み立てができる場合があります。
ポイント還元があるため、可能な際はぜひ活用しましょう。
以前、記事でおすすめした SBI証券と楽天証券はともにクレジットカードに対応しています。
NISAを売るタイミングと休止時期
つみたてNISAはいつでも休止や解約が可能です。少額からでも積み立てが可能なため、環境や状況に合わせて無理をせずに運用しましょう。金額の変更も自由に行えます。
解約のタイミングは利益が出ているときがおすすめではありませんが、あなたの環境の変化や必要資金がいるときにご自身の状況に合わせて解約すると良いでしょう。
まとめ
注意点やリスク、NISAを運用する上でのポイントを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
つみたてNISAは投資に関わる制度なので、リスクが全くないというわけではありませんが、正しく理解して安定的な長期運用を目指せば、さほど大きく心配する必要はありません。
押さえるポイントを理解して、ぜひあなたの資産運用の参考にしてみてください。
参考:https://www.tsumitatenisa.jp/contents/022.html
https://www.a-tm.co.jp/top/securities/nisa/account-change/#h_58367507051597714402183
https://www.dcnenkin.jp/media/3191/